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一般論を言うと、自分の音楽について解説したがるラッパーは相手にしない方がいい。ただし、ザ・ルーツのデビュー・アルバムの冒頭でリードMCのブラック・ソートが「オーガニックなヒップ・ホップ・ジャズってやつをみんなに見せてやるよ」と言っていることは無視できない。彼らのヒップ・ホップに対する取り組み方は、まさにオーガニックという言葉がふさわしいもので、スタジオに閉じこもった典型的なDJ / MC集団とはかけ離れている。人工芝と本物の芝生ほどの違いがあるのだ。
もちろん、人工的な素材を使って作られた芝生が悪いというわけではないが、ザ・ルーツがつくろうとしているのは風味豊かな繊維食物だ。ラップはベース、ドラム、キーボード、ホーンに絡みつき、楽器類はヴォイスの抑揚に合わせてくねり、やがて本物の「うた」へと育つ。音楽とリリックはあくまで自然な共生関係を築くが、決して偶然の力に頼っているわけではない。ループやサンプルでは不可能なことをザ・ルーツがやってのけるとき、彼らの胸の高鳴りが聞こえてくることだろう。たとえば、「Essaywhuman?!!!??!」でヴォーカルと楽器がかけ合いを演じるところや、「Mellow My Man」が途中で奇妙なインスト演奏へと脱線し、そこにラップという生きた人間の声がかぶさってくるところに注意して頂きたい。
フィラデルフィア出身らしいグルーヴを持つザ・ルーツは、ア・トライブ・コールド・クエストの洗練された東海岸風のライムと、ワイルドな西海岸風のフリースタイルをベースに、見事なアシッド・ジャズを展開する。ジャズのように流動的で型にはまらないサウンドだが、とてもヒップ・ホップには聴こえない。ザ・ルーツの音楽は、解散してしまったL.A.のグループ、フリースタイル・フェローシップの怒りに満ちたスキャットとスリリングなメロディーを受け継いでいる。そして、ジャズとラップの異種交配などという陳腐な売り文句を超え、新たな可能性を示すのだ。この種のゴッタ煮風音楽は大昔に起源(ルーツ)を発するが、どうやらザ・ルーツは新たな夜明けを見せてくれそうだ。(Roni Sarig, Amazon.co.uk) ...もっと読む
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